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和包丁とは

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日本の和包丁

日本は、なにごとにもこだわって突き詰めてしまう、一種の職人気質を持っています。そんな日本人のこだわりは、時として海外の人から見ると「なんでこんなに凄いんだ!?」というレベルまで達してしまいます。人型巨大ロボットを作ろうとする小さな工場、最新の機械でもできない微調整を入れてスペースシャトルの部品開発を請け負う町工場、日本には驚きが詰まっています。

 
 
世界に誇ることのできる日本のこだわり、技術の塊。その一つが、普段どこの家庭でも一般的に使っている包丁の源流、和包丁なのです。今回は、知っているようで知らない和包丁について説明させていただきます。

目次

  1. 和包丁とは
  2. 和包丁の特徴
  3. 和包丁の種類

 

和包丁とは

和包丁と言われてもなんのことかサッパリ。そんな方のために、まずは和包丁というものについて紹介をしていきましょう。和包丁というのは、和という文字がついているところから想像できるように、日本独特の技術や文化から生まれた包丁です。
 
世界中の包丁をあえて種類ごとに分けるとしたら、和包丁、洋包丁、中華包丁になるでしょう。それくらい、日本の和包丁は特異な包丁です。しかしその一方で、料理人でもないふつうの日本人にとって普段あまり馴染みのない包丁でもあります。
 
出刃包丁や刺身包丁なら知っているし、テレビ番組で和食の料理人が自由自在に包丁を扱っているのを見たことがある。けれど、家には置いていないし使ったことがない。そんな方も多いでしょう。
 
和包丁は非常に優れた能力を持っているのですが、その反面扱うためには技術や知識が必要で、誰にでも気軽に扱えるものではない、という包丁なのです。
 

和包丁の特徴

和包丁和包丁の特徴はたくさんあります。あえて簡単に言いますと、その特徴は二つです。一つは片刃づくりになっていること。もう一つは刃を含めた金属部分を柄に差し込んで固定する差し込み式になっていることです。
 
和包丁と言えば片刃です。出刃包丁、刺身包丁、柳刃包丁、薄刃包丁。基本的に、伝統的な日本の和包丁はどれも片刃になっています。どうして片刃になっているかと言いますと、日本人らしい細かなこだわりに基づいています。
 
極端な話ですが、洋包丁というのはとにかく食材が切れれば問題なし、という理念で作られています。もちろんより綺麗に切り分けるために工夫がこらされていますが、和包丁はもっと食材を切るということを突き詰めて考えているのです。
 
より美しく、より切り口が綺麗になるように、食材が傷まないように、美味しく食べられるように。和包丁は日本の職人が切れ味と頑丈さを求めた一つの結果なのです。
 
片刃なら食材に刃がついていない面をぴったりとくっつけて切ることができます。ですから切り口は非常に綺麗です。それに、切り込んだ時構造上どうしてもやや左に刃が食い込んでいきますので、両刃に比べて刃に食材がくっつきにくく、魚を刺し身にする時便利です。
 

和包丁と日本刀

もともと、日本刀という非常に優れた刃物を生み出す技術力が日本にはありました。金属は、硬ければ硬いほど切れ味はよくなりますが、その代わりちょっとしたことですぐに欠けてしまう脆さも併せ持ちます。かといって、多少ぶつけても壊れにくい柔らかな金属を使うと、すぐに刃が潰れてしまうので切れ味は鈍くなってしまいます。さてどうしようか、と考えた時に、硬さの違う金属を組み合わせるという技法が生み出されたのです。
 
その結果、西洋の刃物とは違って、日本刀のような折れず曲がらずよく切れる、という特殊な刃物が生まれました。包丁も、日本刀と同じような考え方で作られています。
 
地金と呼ばれる柔らかく衝撃に強い金属に、刃の部分だけ非常に硬い鋼を組み合わせることで、切れ味と丈夫さを両立させたのです。二種類の金属を合わせるという作り方もあって、構造上両刃で作るよりも片刃にした方が刃をつけやすいということもあり、和包丁は片刃なのです。
 
とは言っても、すべての和包丁がこのような作り方をされている訳ではありません。今説明したのは霞づくり、合わせ包丁と呼ばれる包丁の作り方で、一般的にはこちらの作り方の方が主流です。
 
ですが、全鋼、本焼きと呼ばれる一つの鋼だけで作られた和包丁も存在します。ただし、本焼きの包丁は欠けやすいので作るのも難しければ使うのも手入れをするのも難しいので、プロの方や熟練者でないと簡単に扱えません。目にする機会が多いのは、値段的にも合わせ包丁の方でしょう。
 

和包丁に馴染みがない理由

和包丁は、扱いが難しいと最初の方で言いました。それがなぜかと言いますと、和包丁は日本人の技術力とこだわりが発揮されたため、それぞれ非常に専門的な使い方に特化した包丁だからです。
 
例えば、出刃包丁で魚を骨ごと真っ二つにするのはとても簡単です。ですが、出刃包丁で刺し身を引くのは難しいですよね。キャベツを千切りにするなんて、考えただけで嫌になってくるでしょう。
 
和包丁は、一つの食材や料理、使い方に特化することで、他の包丁にはない使いやすさを実現した包丁なのです。ですから、実は和包丁にはこれ一本あれば肉、魚、野菜と何でもできるような万能包丁が存在しません。
 
戦前までは、家庭で肉を使うことは滅多にありませんでした。ですので、台所には菜切包丁と出刃包丁があるくらいでした。しかし戦後洋食文化が入ってきたことによって肉をよく使うようになり、菜切包丁では対応できなくなったのです。そこで生み出されたのが洋包丁の牛刀と菜切包丁を合わせたような三徳包丁です。
 
一般家庭では、肉魚野菜と大抵のものを切ることができるこの三徳包丁が主流になったので、用途ごとに特化していて扱いにくい和包丁が一般家庭の台所から姿を消したという訳です。
 

和包丁の種類

和包丁扱いが難しい難しい、と念仏のように唱えているのは、逆に言えばきちんと扱うことができればこれ以上ないくらい良い効果を発揮してくれるということです。和食は素材本来の良さを大切にしますので、目的と食材ごとに包丁を持ち替えるスタイルが最も美味しい料理を作ることができます。
 
そんな訳で、和食には無数の種類が存在します。代表的なものだけでも、薄刃包丁、出刃包丁、刺身包丁、菜切包丁とあります。同じ出刃包丁の中でもサイズの違いや形の違いから相出刃、身卸出刃、小出刃、中出刃、大出刃と種類が分かれます。
 
ここから更に同じ食材を捌く包丁でも地域によって形と名前に違いがあり、地域独特の食材があればそのための包丁が別にあります。ごくごく限定的な用途にしか使わない包丁もたくさんあるので、すべてを数え始めるとキリがありません。それほど、細分化された包丁なのです。
 

洋包丁との違い

洋包丁との違いは、外見やつくりの話で言えば片刃であること、差し込み式であることくらいです。しかし、その理念はかなり違います。手間が掛かっても良いから少しでも美味しく、美しく食材を切るにはどんな包丁が一番なのか。
 
捌き方を工夫するだけではなく、適した包丁を作ってしまう。そういったところまで食を追求して作られている和包丁は、洋包丁とはまた違った魅力を持っているのです。
 
本格的な包丁は、きちんと手入れすることでいつまでも使っていくことができます。和包丁の使い勝手の良さと切れ味、魅力に気がつくと、とりあえず一本、今度は二本、それじゃあついでに三本目、とどんどん和包丁を揃えたくなることが弱点かもしれません。