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包丁の製造工程

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和包丁の製造工程
本格的な日本の和包丁は、幾つもの製造工程を経て生み出されます。中でも堺打刃物は鍛冶と研ぎ、柄付けという3つの工程を分業で行うことで知られている伝統的な包丁です。
 
包丁が作られる道筋というのは、よほど包丁が好きな方でないと知りませんよね。今回はそんな包丁の製造工程について説明させていただきます。

 
 

目次

  1. 包丁の製造工程
  2. 第1の工程『鍛冶』
  3. 第2の工程『研ぎ』
  4. 第3の工程『柄付け』

 

包丁の製造工程

包丁の製造工程堺打刃物の製造工程は3つと言いましたが、これは全国どこの包丁でも大きく変わることはありません。ただ、より本格的な包丁を作ろうとすればするほど工程の数は増えていき、細かく見れば鍛冶だけでも数十もの工程が必要になります。
 
とはいえ、あまりにも細かいところまで説明しても仕方がありませんので、おおまかに包丁ができるまでを追いかけていきましょう。
 
大雑把にいうと、包丁の製造工程は、包丁に使う金属を火で熱し、ハンマーで叩いて延ばして包丁の形にする。歪みを取って更にハンマーで叩いて金属を鍛えつつ、裏すきと呼ばれる部分を作り、形がある程度できたら焼入れを行って硬度を上げる。
 
更に切れ味良い刃物にするため焼戻しを行い、全体を整えてから研ぐ。包丁の刃がついたら柄をつけ、また包丁全体をチェックして完成。というふうになります。この全体の流れを頭に入れてから、細かい工程を見てください。
 

第1の工程『鍛冶』

鍛冶の工程で行うのは、包丁の形をつくるところです。本焼き包丁はひとまず横において、一般的な合わせ包丁の工程を見てみます。
 
包丁の製造工程合わせ包丁は、丈夫さと切れ味を両立するために二種類の鉄を使って作ります。柔らかくしなやかな軟鉄を地金に、刃の部分だけはより硬度の高い鋼を刃鉄に使うのです。
 
軟鉄と鋼、二種類の金属を作っていく工程は、刃金つけ、整形、焼きなまし、粗たたき、裏すき、泥塗り、焼入れ、焼きもどし、歪み直しとなります。
 

刃金つけ

軟鉄と刃鉄、二つの金属を重ねあわせ、炉で溶かして柔らかくしてハンマーで叩きます。こうすることで二つの金属がくっつき、包丁の基礎となる鉄板ができます。
 

整形

刃金つけをしたものを全体的にハンマーで叩いて薄く延ばし、包丁に不必要な部分を切り落とします。同時に、柄に差し込む部分、中子もつくります。
 

焼きなまし

整形したものを一度冷まします。冷ますことによって、次の工程に移ることができるようになります。
 

粗たたき

十分に冷えた包丁の原型をハンマーで叩き、不必要な成分を叩き出します。
 

裏すき

片刃の包丁独特の、刃物の切れをよくする裏すき部分をここで作ります。グラインダーなど、機械を使って削ります。
 

泥塗り

刃鉄に使っている刃金は、急激に冷ますことによって成分が変わり、より硬くなります。これを焼入れと言うのですが、焼入れを均一にできるように、泥を塗ります。その後、泥を乾かします。
 

焼入れ

焼入れをしたい部分、つまり刃鉄の部分をおよそ800度前後に熱してから水や油に入れ、一気に冷まします。
 

焼戻し

焼入れをした包丁を100度ほどに再度熱し、また冷やすことでよりしなやかで良い包丁にすることができます。
 

歪み直し

ここまで来たら鍛冶の仕上げです。冷え固まった包丁が歪んだりしていないか、叩いたりしてチェックします。歪みを直したら、次は研ぎに入ります。
 

第2の工程『研ぎ』

どんなに良い鋼の包丁に仕上げても、刃がついていなければただの鉄板です。研ぎの工程では、包丁を包丁にするために鋭い刃をつけていきます。工程として、荒研ぎ、本研ぎ、裏研ぎ、ぼかし、仕上げとなります。それでは早速研ぎの工程を流れで見て行きましょう。
 

荒研ぎ

砥石にも荒砥石というものがありますが、ここでは最も大雑把に包丁の刃の基礎部分を研ぎだしていきます。手作業で行うことはなく、固定した包丁を回転砥石を使って研ぎます。荒研ぎの部分で包丁の刃の角度を決めてしまうので、大事な工程です。
 
ある程度下地部分が研げたら、研いだことによって包丁が歪んでいないかチェックします。このチェックは、研ぎを行う度にこまめに行います。刃が歪んだまま研いでしまうと、後で直すのが大変だからです。
 

本研ぎ

荒研ぎで刃の下地を作ったら、今度は本格的に「切れる」刃をつけていく作業に入ります。荒い砥石で削ってできた傷や歪みを目の細かいバフなどを使って研磨し、同時に包丁の刃の厚みも調整します。
 
刃の厚み、傷取りが終わったら、本研ぎとしてきちんと刃をつけるために研ぎます。一度に全部研いでしまうということはなく、この工程でも一応の刃をつけながら包丁が歪んでいないかチェックし、また研ぎ、ということを繰り返します。
 

裏研ぎ

刃の表を本研ぎし終えたら、今度は裏も軽く研いでいきます。片刃包丁の切れ味は表の研ぎ具合にかかっていると思うかもしれませんが、実は裏部分がきちんと平らになっていないと刃がつきません。包丁の裏を平面にし、刃切れをよくする裏すきを作るところまでは鍛冶で行いますが、細かな調整は研ぎの工程で行います。
 

また、少しずつ研ぎの目を細かくしていき、全体的な傷を取ったり、その都度刃の歪みができていないかチェックします。
 

ぼかし

ここまでずっと研いできたのに、ぼかしとは一体何だろうと思うかもしれません。ここでは、砥石の粉を練ったものをゴム片につけ、それを包丁の刃にこすりつけていくことで、地金と刃鉄の境目、いわゆる刃紋の部分をくっきりと目立たせます。
 
こうすることで地金の部分がよりくすんだ色合いになり、刃金の部分は輝きます。実用性を高めると同時に、見た目も良くしているという訳です。
 
合わせ包丁が霞仕上げと呼ばれるのは、地金部分が霞がかってみえるところから来ています。

仕上げ

研ぎもそろそろ仕上げです。仕上げとのような非常に目の細かい砥石を使って、丁寧に包丁の刃を研ぎ上げます。刃のかえりが出るまできちんと研ぎ、裏面のかえりを取ったら、鋭い和包丁の切れ味は完成です。
 

第3の工程『柄付け』

どんなに良い包丁でも、柄がないと手で持って料理をすることはできません。ここでは、和包丁の最終仕上げとなる柄付けについて解説します。
 
とは言っても、ここに細かな工程があるわけではありませんので、全体的な流れを抑えていきましょう。
 
和包丁の特徴の一つとして、柄が差し込み式になっている、ということがあります。包丁の刃ではない部分、中子というところを挟み込み、鋲で止める洋包丁とは違い、木から削りだした柄に穴を開け、そこに差し込んで固定します。
 
和包丁で主に使われるのは、ポプラや黒檀、朴の木です。堺打刃物では朴の木を使うのが一般的で、特別良い包丁は朴の木の中心部分を使って柄を作ります。
 
朴は軽く、適度に柔らかいため長時間包丁を握っていても疲れにくいですし、何より水に強いのですぐに腐ったりしません。
 
また、ただ差し込むだけでは中子部分が腐りやすく、抜けてしまったりするので、柄に包丁を差し込む際は中子を赤くなるまで熱し、柄の内側を焼き付けるようにして差し込みます。内部が焼けることによって腐るのを防ぎ、またぴったりと包丁と柄を固定できるという訳です。
 
この他、口輪と呼ばれるパーツを使って柄の差込口が広がらないようにします。
 
両刃包丁も本焼き包丁も、多少手順が違うところもありますがどれも製造工程に違いはありません。これだけの手間が掛けられているからこそ、本格的な包丁は長持ちし、良く切れるのです。