お問い合わせ

薄刃包丁とは

usuba

野菜に使う和包丁、どんなものでしょう? 京都の料理人御用達、薄刃包丁はプロ並みの包丁技術が欲しい、和包丁が大好きという方にはたまらない包丁です。薄刃って何? という薄刃包丁の基本から特徴、扱う時に注意すべき点まで色々と説明いたします。興味がある方は和包丁について学んでみましょう。

 

目次

  1. 薄刃包丁とは
  2. 薄刃包丁の種類と形
  3. 薄刃包丁は扱いが難しい

 

薄刃包丁とは

薄刃包丁というのは、日本の伝統的な和包丁の一つです。名前からしていかにも刃が薄くて切れ味が良さそうですよね。実際に数ある和包丁の中でも非常に刃が薄く、その分切れ味はかなりのものです。主に野菜を切る時に使われる包丁で、手入れや扱いに注意が必要なので、ご家庭で薄刃包丁を使っているという方は少数派です。
 

薄刃包丁は菜切包丁の親分

薄刃包丁というのが何だか良く分からない方は多いでしょう。日本の一般家庭において良く使われているのは、戦前では菜切包丁、戦後からは三徳包丁がほとんどです。有名な出刃包丁や刺身包丁などは存在を知られていますが、薄刃包丁と言われてもどんなものやら、と思ってしまうのは仕方がありません。
 
薄刃包丁というのは、プロの料理人が野菜を切る時に使う和包丁です。非常に刀身が薄く、刃の幅はかなり広めに取ってあります。片刃作りになっていて、切れ味はかみそりの如しです。
 
野菜の飾り切りや大根のかつらむきなどの用途に適していますが、野菜以外のものを切るのは不得意なので、家庭用の包丁とは言えません。
 
そこで一般家庭でも使いやすいように、薄刃をちょっと厚くして頑丈に、利き手の違いや片刃の包丁を扱う技術がなくても問題がないようにと両刃の菜切包丁が作られたのです。
 
薄刃包丁は、いわば菜切包丁の親分と言えます。
 

薄刃包丁の種類と形

薄刃薄刃包丁には、大きく分けて二つの種類があります。一つは関東型、もう一つは関西型です。刃の切れ味などは同じ包丁なので違いはありません。ただし、ひと目見て分かるくらいに見た目が違います。
 
それでは、薄刃包丁の関東型と関西型は何が違うのか見てみましょう。
 

関東型の薄刃包丁

関東型の薄刃包丁の特徴は、何と言っても角型とも呼ばれるその形です。出刃包丁や一般的な三徳包丁とは違って四角形をしています。尖った切っ先を持っていないということです。形の近いもので言うと、ナタや菜切包丁とよく似ています。菜切包丁より更に刃が薄く、反りはほとんどありません。
 

関西型の薄刃包丁

一方、関西型の薄刃包丁には、僅かな反りと尖った切っ先があります。見た目としては、出刃包丁などに近いのでより包丁らしいと言えるでしょう。関西型の薄刃という名前以外にも、鎌型薄刃包丁という名前があります。
 
関東型と違うのはまさに切っ先があることです。切っ先のない関東型の薄刃包丁よりも野菜の飾り切り、細工などもより細かく行うことができます。刃にわずかに反りがあるので、反りを利用して野菜を切ることも可能です。
 
関東型の薄刃包丁も関西型の薄刃包丁も、持っている性質は同じです。ただ切っ先があるかないかという違いしかないと思っていただいて構いません。ただ、実際に購入して薄刃包丁を使ってみたいということであれば、より使い勝手の良い鎌型薄刃包丁を買い求めるのが良いでしょう。
 
片刃包丁は刃がついていない側、裏と呼ばれる部分が薄くえぐれています。ここを裏すきというのですが、これがあるがために片刃包丁は扱いが難しいのです。では、どうしてそんな技術が使われているのか補足してみましょう。
 

片刃包丁に裏すきがある理由

簡単に言うと、野菜を切った時に食材がくっつかないようにするためです。野菜を切っている時、リズム良く刻みたいのに包丁に野菜がくっついてしまって切りにくい、ということがありますよね。実はこの時、包丁の刃で食材を切るのも、包丁に食材がくっついてしまうのも、ひとえに摩擦力が働いているのです。
 
単純に食材を切るということを考えてみましょう。切れ味だけを考えると、カッターのようにとにかく刃が薄くて鋭いほど切れ味は良くなります。これは、刃が薄ければ薄いほど摩擦なく食材に切り込むことができるからですね。
 
ただし、どんなに切れ味の良いカッターでも幅が30センチあったらどうなるでしょうか。切れ味が良いので食材を切り始める時はとても楽ですが、刃が食い込むにつれて30センチある刃の幅が食材とこすれて切りにくくなってきます。刃が食材に触れる面積が増えると、それだけ切れ味を邪魔してしまうのです。切りやすい刃物というのは、刃が薄くて鋭く、そして出来るだけ食材に触れる面積が少ない方が良いのです。
 
切れ味だけを考えて糸のように細い包丁を作っても耐久力がないのですぐに折れたり欠けたりしてしまいます。そこで、頑丈さと切れ味の両方を確保するための技術として裏すきがあるのです。
 
裏すきの部分は凹んでいますので食材に直接触れる訳ではありません。触れていなければくっついたりすることも防げます。切れ味も邪魔しません。
 
穴あき包丁の昔の知恵バージョンとでも考えていただければ良いでしょう。
 

薄刃包丁は扱いが難しい

薄刃薄刃包丁は野菜を切ることに関してはとても優れた包丁です。ただ、その分日常的なお手入れや研ぎ方、野菜を切る時にも慣れや技術が必要な包丁でもあります。
 
片刃の包丁はどれもそうなのですが、構造上両刃の包丁のようにまっすぐ切るのが苦手です。片刃の包丁で大根を切ってみるとすぐに分かるのですが、右利きの方ならどんどん刃が左にずれて行ってしまいます。刃の表側に角度がついているため仕方がありません。片刃の包丁は大根をまっすぐ切るのにも包丁を扱う技術が必要になるという訳ですね。
 
薄刃包丁は更に扱いに注意しなければなりません。何故ならば、他の包丁と比べても断然刃が薄いからです。刃が薄いということはその分もろいということです。包丁を持ち替えるのが面倒だから、ちょっとだけ魚を捌いてしまおう、なんてしてしまうと、魚の骨で簡単に刃が欠けてしまいます。切れ味の鋭さと包丁の頑丈さは両立しにくいものなのです。
 
包丁を落としたり、無理に食材を切ろうとして刃が欠けてしまったなんてこともあります。
 
更に、薄刃包丁は研ぐのがとっても難しいのです。切れ味が良いということは、刃の角度がかなり浅いということです。包丁を浅い角度できちんと研ぐのは、頑丈さ重視で深めの角度で研ぐよりずっと時間がかかります。まして薄刃包丁は薄いので、ちょっと角度を間違えると途端に切れない包丁になってしまうのです。
 
片刃なので両刃よりも扱いが難しく、繊細な包丁なので取り扱いに注意が必要、きちんと研ぐにも技術が必要。それが薄刃包丁です。逆に言えば、薄刃包丁を研げるのであれば、どんな包丁でも大体研げるということです。
 

薄刃包丁の良さ

薄刃包丁にも良さはたくさんあります。野菜の皮むきをする時など、刃をコントロールするのは両刃より片刃の方が優れています。鎌型包丁ならば切っ先を使って細工切りをしたりすることもできます。プロの料理人がその繊細な技術を存分に発揮することができる、そういう包丁なのです。
 

薄刃包丁が欲しい時

家庭用とは言えない包丁なので、薄刃包丁は他の包丁に比べるとお値段がお高めです。高いものはそれこそ一本数十万円の世界です。
 
繊細な包丁ですので、どうせ買うのならば少し高くても良いものを買うのが良いでしょう。安いものもありますが、まともに研げなかったり研いでも刃が長持ちしなかったりと後々後悔することになります。
 
選ぶポイントは国産、それも鋼で作られているものを選ぶことです。ステンレスより鋼の方が研ぎやすいですし、刃も長持ちします。限定的な用途で使う包丁ですので、一本良いものを選べば軽く十年は使っていけます。