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うなぎ裂とは

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うなぎ裂と言われてもピンと来ない方は多いはずです。名前の通りうなぎを捌くための和包丁、うなぎ裂。
 
地域ごとに異なる独特の見た目や扱いの違い、意外と知らないうなぎ料理のマメ知識までご説明いたします。うなぎ裂のことを知っていると、うなぎがもっと美味しく楽しめること間違いなし。ぜひ一度うなぎ裂について学んでみて下さい。

 

目次

  1. うなぎ裂は特殊な包丁
  2. 地域による違い
  3. 関東と関西ではうなぎの捌き方が違う
  4. うなぎ裂の研ぎ
  5. うなぎ裂の選び方

 

うなぎ裂は特殊な包丁

うなぎ裂の特徴を知る

うなぎが好きで好きでたまらないという方、普通の魚とは一風変わったうなぎはどうやって捌いているのか気になったことはありませんか。
 
うなぎは普通の包丁では捌きません。日本人の食の風物詩とも言えるうなぎを捌くための包丁、うなぎ裂という専用の包丁を使うのです。
 
うなぎは、家庭ではなかなか生きたまま扱うことのない食材です。それだけにうなぎ裂を知っているという方も少ないでしょう。ただ、料理は調理の工程を知ればますます美味しくいただけるというもの。ここでは、絶品のうなぎを作るための包丁について説明させていただきます。

 

地域による違い

うなぎ裂というのは、一本でうなぎの身を開き、骨とヒレを落とすことができるように作られている片刃の和包丁です。他の和包丁と比べて特徴的なのは、やはりその種類の多さでしょう。
 
うなぎ裂を大きく分けると関東型と関西型、細かく分ければ江戸型に京都型、名古屋型に大阪型、九州型まで分けられます。とは言っても、うなぎを捌く時に必要なものが違う訳でも、地域によってうなぎの体のつくりに大きな違いがある訳でもありません。これだけ型に違いがあるのは、うなぎの調理手順の違いなのです。
 
うなぎ裂の特徴は、地域によって変わります。その変化が大きいので、知らない人が見たら全く別の包丁に見えてしまうくらいです。では、それぞれの地域のうなぎ裂について確認してみましょう。
 

江戸型

江戸型のうなぎ裂は、三角形に尖った切っ先と短めの柄、うなぎ裂の中でも長めの刃渡りを持つ包丁です。大きいものは刃渡り20センチ以上あり、柄が短いので握ると手の中に綺麗に収まるようにできています。
 
また、江戸型でもサイズの小さいものは、穴子やどじょうを捌くための包丁、どじょう裂として用いられます。
 

京都型

京都型のうなぎ裂は、江戸型とはまた違う見た目です。刃渡りは10センチ以下と非常に短く、切っ先が丸まっていてナタのような形をしています。刃の峰には目打ち釘を打ち込むために太めの出っ張りが取りつけられており、刃物兼金槌として使用できるようになっています。
 

名古屋型

名古屋型のうなぎ裂は、京都型と同様切っ先のない四角形の形をしています。ただし、京都型とは違って刀身は細長く、柄は少し長めのつくりになっているので、見た目の印象は京都型とは全く違います。
 

大阪型

一番特徴的な見た目をしているうなぎ裂といえば大阪型です。柄はなく、長方形の鋼の先には江戸型と同じように斜めに刃がついています。大工が使うノミのような、彫刻刀のような見た目をしていると考えていただければ分かりやすいです。
 

九州型

大阪型と同じく、柄のないうなぎ裂です。九州型は大阪型と違い、ナタのように丸まった刃を持っています。ただし、大阪型と同様柄がない分使いにくいので、余り見かけることのない包丁でもあります。
 

関東と関西ではうなぎの捌き方が違う

関東では、うなぎを捌く時に背中から身を開きます。武士文化であった関東圏で腹開きをするのは切腹をイメージさせるのでよろしくない、という考えがあったからです。
 
一方関西圏は公家、商人の文化が強く、別に気にしないので捌きやすい腹開きを選んだという訳です。商人同士腹を割って話そう、という説もあります。
 
関東と関西でうなぎの捌き方が違うのは、こういった文化的な背景があったからです。しかし、どちらの捌き方をするかでうなぎの味が違うという理由もあったりします。
 
うなぎの旨味、つまりあぶらは背中側ではなく腹に詰まっています。うなぎを調理する時は、開いた身をつなげたまま焼きますよね。うなぎを背開きで処理すると、うまみの豊富な腹側が身の中心となり、そこからじわじわとあぶらが身に溶け出して行くので味が落ちにくいのです。
 
また、背開きのうなぎを焼いた場合、中央からあぶらが抜けて凹み、身の端側が膨らむので、うなぎの身が縮まず、見た目も良いです。
 
関西型の腹開きを行うと、開いた身の外側においしい部分が行ってしまうため、どうしてもそこからあぶらが落ちてしまいやすく、更に身の真ん中が膨らみ、端は凹んで丸まってしまったりします。
 
もう一つおまけに言いますと、関西と関東でうなぎ裂の形が違うのは、背開きをするか腹開きをするかの違いから来ているのです。
 

背開きには尖った刃、腹開きには丸い刃

うなぎ裂

うなぎを背開きしようとすると、すぐに中骨に引っかかってしまいます。そのため、より切り込みやすいようにと関東型、つまり江戸型のうなぎ裂には三角形の鋭い切っ先がついているのです。
 
逆に言えば、内蔵がある分柔らかく、切り込みやすい腹側から開く関西の捌き方では、尖った刃先がなくても問題がないということです。
 
そのため、関東型と関西型では同じうなぎ裂でも大きく形が違います。
大阪型のうなぎ裂は江戸型と同じような切っ先がついていますが、これは大阪型には他のうなぎ裂のように刀身の側面に刃がついていないからです。完全にノミのような刃の付き方ではうなぎを捌くことができません。

 

うなぎ裂の研ぎ

うなぎ裂はどれも形が特徴的です。それだけに、一般的な和包丁とは研ぎ方に違いがあるのではないかと思ってしまうこともあるでしょう。
 
うなぎ裂であっても包丁の研ぎ方に違いはありませんのでご安心ください。ただ、うなぎ裂は和包丁ですので片刃のものがほとんどです。そのため、長く使っているとどんどん刃がすり減り、裏すきの部分が潰れていってしまいます。
 
そこまで行ってしまったのならば、無理をして研ぎ直したりするのではなく、プロの研師の方にお願いした方が良いです。
 

うなぎ裂の材質

和包丁はどれも大体同じですが、うなぎ裂も使い道が限られている包丁です。どこのご家庭にもうなぎ裂が一本ある、というようなメジャーな包丁ではありません。
うなぎ裂
 
それはつまり、市場に出回っている数が少ないということです。数の多い包丁であれば、様々なニーズに応えるためにステンレスや合金、鋼とステンレスを合わせたものなど色々な材質で作られます。
 
しかし、うなぎ裂に関してはプロ用途がほとんどですので、錆びやすい代わりに研ぎやすく刃が長持ちする鋼製のものばかりになります。
 
鋼と言っても等級はありますが、固い鋼と柔らかめの鋼のどちらかという違いがあるだけです。

 

うなぎ裂の選び方

もしうなぎ裂を購入してみようと思うのであれば、まずはうなぎを背開きにするのか腹開きにするのかで判断をすると良いでしょう。ここまでご説明した通り、うなぎは地域、お店によって捌き方が異なります。興味があって和包丁を集めている、良く釣りに行ってうなぎやどじょうを釣り上げるので自分で捌けるようになりたい、ということであれば、腹開きする方が簡単です。京都型や名古屋型のうなぎ裂を選ぶと良いでしょう。特に京都型のうなぎ裂はサイズも小さく扱いやすいのでおすすめです。
 
江戸型の包丁は腹開きができないという訳ではありません。どちらもやってみたい、関西型のうなぎ裂で気に入るものがなかなか見つからないという時は、数の多い江戸型のうなぎ裂を探しましょう。
 
ホームセンターに行っても売られていないので、本格的な刃物屋さんを回るか、ネット通販を頼るのが良いです。