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特殊包丁とは

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特殊な包丁とは何でしょう?世の中は広く、一般の方が見たことも聞いたこともないようなものがたくさん溢れています。それは抜きん出た種類と数を誇る職人の道具、包丁の世界でも同じこと。普通に料理をしているだけでは決して目にすることのできない特殊な包丁について説明していきます。

目次

  1. 特殊包丁とは
  2. 塗師屋包丁
  3. 式包丁
  4. 寿司切り包丁
  5. 餅切り包丁
  6. 丸包丁
  7. 手付包丁
  8. スラッカン包丁

 

特殊包丁とは

日本の和包丁は、世界でも有数の数と種類を誇るおもしろい包丁です。様々な魚、野菜、加工食品をより効率的に調理するためにはどんな包丁を使えば良いのか、日本人はその用途の分だけ包丁を考え、生み出しました。
 
例えば中華料理では、ほとんどの作業を大きな角型の中華包丁一本で行ってしまいます。西洋では、種類こそいくらかあるものの、基本的にどの包丁も牛刀と同じ形をしており、切る素材によって包丁の形まで変えてしまうようなことはほとんどありません。一般的に材料は切れれば良いという考えが根底にあるからです。
 
しかし日本の和包丁は野菜を切るなら菜切包丁、お刺身をつくるなら刺身包丁、魚をゴリゴリ捌くなら出刃包丁というように包丁を持ち替えるのが基本です。
 
それはもともと折れず曲がらずよく斬れる、日本刀という刃物をつくる技術と、日本人らしいこだわりがあったからです。
 
そんなオリジナリティあふれる和包丁の中にも、更にマイナーで特殊な包丁がたくさんあります。今回は普段目にすることのない、そんな特殊な包丁について説明していきます。
 

塗師屋包丁

さて、いきなり見たことも聞いたこともないような名前です。読み方は”ぬしや”包丁と言い、漆塗の職人が使う包丁です。
 
包丁というより、ノミといった方が分かりやすい見た目をしています。長方形でノミの側面に刃がついている、と考えていただければ分かりやすいです。用途としては、漆塗り用の刷毛などを手入れするために使います。刃渡りが長いもの短いもの、右利き用左利き用のものもあります。
 
漆塗で使う刷毛は、長方形の薄い木箱の内側にお尻から先端まで毛が詰まっているという独特な構造になっています。そのため、漆が固まったりして刷毛が使いづらくなって来たら刷毛の先を木箱ごと塗師屋包丁で切り、形を整えるという作業を行うのです。他にも、塗師屋包丁はへらを仕上げたりするのにも使います。
 
職人の道具ですので、刃物屋さんであってもなかなかお目に掛かることができない特殊な包丁です。
 

式包丁

特殊包丁式包丁は、古くは平安時代から伝わる料理人のパフォーマンスで使われる包丁です。狩衣に烏帽子、袴を身につけ、これまた特性の箸と包丁だけを使って一切食材に触れることなくまな板の上の食材を捌きます。
 
もともとは神や天皇への奉納のために行われていたものですが、時代と共にお客様へのもてなしの芸事、一種の宴会芸としても扱われるように変化していきました。とはいえ、まな板の上の食材を箸と包丁だけで捌いてしまうのですから、卓越した技術を持っていないとできません。
 
式包丁を目にするのは神事や特別なイベントごとの時だけですので、一度も見たことがない方の方が多いでしょう。
 
見た目としては大型の包丁で、刃渡りは30センチほどと長めで細長く、刃先には丸型の反りがついています。式包丁、包丁刀とも呼ばれたりします。
 

寿司切り包丁

和食と言えば寿司ですが、一口に寿司と言っても握りに軍艦、ちらし、押しずし、巻きずしでは見た目も調理法も全然違います。特に太巻きなどの海苔巻きや押しずしは、作った後一口大に切らなくてはいけません。そんな時に使う特殊包丁が寿司切り包丁です。
 
寿司切り包丁は、魚を捌くための出刃や柳刃などとはまた違ったつくりになっています。巻きずしを自宅で切ったことのある方は分かると思いますが、切り口を綺麗に巻きずしを切るのは、意外と難しいです。細巻きのものならば切れ味の良い包丁でスパっと切ることもできますが、太巻きになると海苔が引っかかって切れ味が鈍るので、断面が潰れてしまったりします。
 
そのため、寿司切り包丁の刃は直線や単純な曲線ではなく、半円になっています。包丁を横から見ると、丁度かまぼこをひっくり返したような形になっている、と言えば分かりやすいでしょう。
 
片刃の包丁だとまっすぐ切り込むのが難しいため、寿司に大してまっすぐ切り込めるように両刃づくりになっています。半円という独特な刃の形を利用することで、太巻きであっても飯と具を崩さずに綺麗に切ることができるのです。
 

餅切り包丁

正月と言えば餅です。切り餅、丸餅、鏡餅といろいろありますが、餅を切るための包丁があることはご存知でしょうか。
 
日常的に使う包丁ではありません。例えば正月の鏡開きの時に使います。つきたてのお餅はとても柔らかく、麺のようにつるつるとすすって食べられるほどですが、日にちが経った餅は釘が打てるくらいの固さになってしまいます。
 
固い餅を普通の包丁でどうこうするのはほぼ不可能です。そこで、体重をかけやすく力もいれやすい餅切り用の包丁が生まれました。見た目としては長めの刀身に丸い刃がついています。両刃づくりになっているのも特徴です。
 
一般的な包丁は柄が一つ、片手持ち用に作られています。しかし、餅切り包丁の中には両端に持ち手がついたもの、餅を挟んで固定できるように台と一体型になっているがあります。
 
両手持ちの餅切り包丁はその分力を入れやすく、また二人がかりで使うこともできるので、固いものでも両断することができます。台座付きのものは滅多に見られないものなので、餅切り包丁の中でもさらに特殊なものとなります。
 

丸包丁

丸包丁というのは、障子などの紙や布を切るために使われている包丁です。もともとははさみがない時代、布を切るために作り出されたものです。
 
大きな布や紙を切る大ぶりのものもあれば、小さなものもあります。刃の形が非常にユニークで、丸くなっています。例えて言えば、柄の先にサボテンの頭がついているような感じです。
 
紙や布をスパスパと切るという役割のために、刃は非常に薄く切れ味良く作られています。和包丁のつくりかたで作られているので丈夫さも折り紙つきですし、丸い刃ということで刃の反りが強い分、直線に近い形の包丁とはまた違った切れ味を持っています。
 

手付包丁

日本全国どこのスーパーに行っても、板かまぼこが手に入ります。かまぼこというのは白身の魚を使った練り物で、この板かまぼこを作る際に使う包丁が手付包丁です。附包丁とも呼ばれます。
 
細長く長方形の見た目を持つ手付包丁の珍しいところは、刃がついていないことです。包丁なのに刃がついていないというのも変な話ですが、練ったかまぼこを板に盛る、もしくは板の上にのせたかまぼこを綺麗な半円状に成形するという用途で使うので、刃が必要ないのです。
 
板かまぼこも機械で大量生産するのがスタンダードな現代で、手作りで板かまぼこを作っているお店でしか見られない包丁です。それだけになかなか見られるものではありません。
 

スラッカン包丁

tokusyuでは最後に一つおもしろいものを紹介しましょう。何を隠そう、大人気韓国ドラマのチャングムで使用されていた韓国宮廷包丁です。
 
この包丁、ドラマの中で使われていたというだけで実際に当時の韓国で使われていた包丁だという訳ではありません。ただ、いわば空想のもの、ドラマのセットとして作られものを本当に再現したというところにレアリティがあるのです。
 
世界中を探しても、スラッカン包丁を作っているのは一箇所だけです。
 
青龍刀のように鋭く反り返った刃先と重厚なつくりが特徴的な包丁で、刃渡りは21センチ、重さも430グラムあります。刃は非常に鋭く、切れ味が良いので、ちょっと変わったものを使ってみたい、チャングム気分が味わいたい方には堪らない包丁といえます